コレクション

#1 ストール/シルク×カシミア

3者の職人技術と、活かしきった素材の魅力をより深く感じ取ってもらうために、BATTAN BATTAN第1弾のメニューには「ストール」を選択しました。統一のテーマは、伝統によって磨かれてきた品質を上品な時間とともに伝えることを意識し、「気品と調和」に。そして、素材には自然界最高のポテンシャルを備えるシルクとカシミアを採用しています。優れた素材をストールというシンプルなメニューへ生まれ変わらせるプロセスには、つくり手の腕と思いが問われます。

シルクとカシミアが織りなす、
最上の心地良さ。
目指したのは、
未だこの世にないベルベットストール。

本物の素材にこだわったベルベット生地を用いて新しい表現を追求する中で、昨今は、有名高級ブランドのファッションデザイナーの方に直接協力させて頂くことが、仕事の多くを占めるようになっています。驚くようなリクエストに応えたり、また、ユニークな生地や加工の提案を私から行ったりなど、商品を一緒に作り上げていくプロセスでは、多様な発想が生まれます。今回のストールの生地アイデアは、そういった経験をもとに“最高級の素材を使い、質感や肌触りなどベルベットの良さを最大限に引き出した、未だこの世にないストール”を目指して手掛けました。
弊社におけるベルベットの織り工程は、「二重ビロード」と称されます。簡単に言うと、「グランド」と呼ばれる織物組織2枚の間を、最終的に起毛部分となる「パイル」と呼ばれる糸でループ状につなぎ、2枚の間をカットすることで、同時に2枚の生地をつくりあげる流れです。今回のストールづくりでは、「グランド」の経糸にコットンを、緯糸には温もりのあるカシミアを採用。「パイル」には光沢があり、肌触りも良いことからシルクを用いました。薄さと軽さ、風合いを追求したかったので、両糸ともに可能な限り細い糸を贅沢に選択しました。特にヤギの毛が原料であるカシミアは、細ければ細いほど希少価値があります。
「パイル」にシルクを使うことで障壁もありました。自然素材であるシルクには微細な節や太さのムラがあり、織る際に生じる引っかかりの解消や、繊細なカット作業が求められます。何度も検証を繰り返してできあがった、類を見ない商品を是非身に付けて堪能してほしいと思います。

商品名
COMFORT VELVET
サイズ
w500mm h1800mm
素材
カシミア45% シルク40% コットン15%

カシミアを「カラミ織り」で
麗しく爽やかに。
世界最高品質の素材を、
繊細な技術で活かしきる。

開発テーマは“気品と調和”です。気品とは何処となく感じられる上品さ。そして、今まで研鑽してきた技術によって磨かれた品質・伝統であると考えます。法衣・和紙を陰から支える「カラミ織り」技術を駆使し、ストールとして羽織るまたは巻く時のウエイトのバランスや使用する素材の吟味、カシミアとシルクの混率を考慮。伝統和装と最新ファッションの調和を図りました。
「カラミ織り」は、経糸を2本ずつ撚りながら撚った間に緯糸を通す織布方法で、出来上がった製品は、軽量でさらりとした手触りがあり、通気性が良く、何枚も重ね着をする法衣や夏用和装に用いられています。この技法で、今回、冬素材であるカシミアを爽やかな風合いに仕上げています。経糸にシルクを、緯糸にはシルクとカシミアを交互に使用。「カラミ織り」の特徴である透け感とシャリ感を残しつつ、カシミヤの魅力である柔らかさと繊細な起毛感が際立つように努めました。また、緯糸を経糸で絡ませているため織組織が崩れにくく美しい状態をキープします。
シルクには、ブラジル産の生糸を。カシミアには中国内蒙古(内モンゴル)自治区産を採用しています。それぞれ世界最高級の品質を誇る素材です。
通常、織布用にはニットよりも太めの糸を使用するところを、グレードの高いニット用の極細の糸を使っています。「カラミ織り」は、緯糸にテンションが掛かり切れやすくなるため、卓越した技術と繊細な作業が求められます。染色は京都の西陣、風合い加工は一宮、縫製は横浜。それぞれ日本最高の技術を持つ職人の手によって仕上げています。

商品名
Refreshing leno
サイズ
w1080mm h2040mm
素材
カシミア35% シルク65%

至高の艶やかさと肌触りで
“幸せな気持ち”になれる時間を。
福井の風土の賜
「ぬれよこ羽二重」で完成させる。

商品から感じてほしいのは、シルクの滑らかさと光沢、カシミアの柔らかさと温もり、そして、その全てが調和した魅力です。生地そのものの良さを至上の肌触りとして届け、身に付ける人に幸せな気持ちになってもらいたいという強い想いがありました。
用いているのは「ぬれよこ羽二重(はぶたえ)」という織り技術です。かつては、シルクで欧米向けの輸出用生地を。現在では主に和服の胴裏用の生地を製造しています。羽二重とは、通常の平織(ひらおり)が、経糸と緯糸を1本ずつ直角に交わらせるところ、細めの経糸2本を撚らずに並べて織る製法で、「絹の良さは羽二重に始まり羽二重に終わる」と言われています。
「ぬれよこ」とは緯糸を水で濡らして織っていく製法で、布地が引き締まり、こしがあって丈夫になります。水が豊富で一年を通して湿度が高い福井の風土を活かした伝統の製法です。また撚りのない生糸を使うため、引っかかりのない滑らかな肌触りと艶やかさ、自然素材の賜と呼べる風合いが商品に活かせます。
今回のストールでは、経糸にシルク、緯糸にシルクとカシミアの合わせ糸を使用しました。カシミアを合わせることで、柔らかさや温もりの向上を目指しました。「ぬれよこ」製法により、水が糸同士を繋ぎ合わせ、お互いの長所をバランスよく引き出しています。その結果、滑らかで柔らかい肌触り、艶やかで温もりのある光沢、薄さと丈夫さを兼ね揃えた生地に仕上げることができました。自然素材ならではのやさしさや、手染めによる世界に一枚しかない色合いを楽しんでもらいたいです。

商品名
Harmony Habutae
サイズ
w860mm h1800mm
素材
カシミア55% シルク45%